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古屋は、……なんていうのか、変な感じに目立つ奴だ。
まず、身長がとても高い。
クラスの女子たちの中では一番背が高く、男子たちと比較してもそこそこ背が高い。バスケ部の島中よりちょっと低いくらいだから……164ぐらいあるんじゃないだろうか。
まあ、あんまりスポーツはできないみたいだけど。
そりゃ、クラスメイトの運動神経をいちいち気にするつもりはないけれど、古屋はそのタッパのせいもあって、やけに目立つのだ。
体育館を二つに分け、男女それぞれ授業をすることがあるのだけれど、……そういう時、ヨタヨタと走っている姿がやけに目につく。
古屋は、肩までのびたその黒髪を後ろで丁寧に一本にまとめていた。
ぴょこ、ぴょこ、と不格好に走るたびに、束ねられた髪たちが、尻尾みたいに揺れた。
黒髪の隙間では……いつも耳たぶが真っ赤に染まっていた。
恥ずかしがっていたのだ。毎回。
バスケではうまくパスができないし(その前にトラベリングを何度もやらかす)、バドミントンは明後日の方向にシャトルを飛ばす。ふざけてるのではない。大真面目にやらかすのだ。
僕は大して古屋のそういった行動を面白いとも何とも思わなかったけれど……女子たちは違ったようだ。
いつもいつも、「ウッキーしっかりしなよ~」とキャハキャハ大げさに笑っている。その笑い声があんまり大きいものだから、古屋は余計恥ずかしがる。だから、耳たぶまで真っ赤に染めて、体育の時間は走り回る。そして、女子たちはまた笑う。
……負の連鎖、というのが明らかに生まれていた。
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