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中学二年生の僕の趣味は、「嘘をつくこと」である。
……ということを、仲の良い友人にすら僕は打ち明けたことがなかった。
大体、人をだますための言葉が「嘘」なのだから、バレちゃいけないのだ。
バレちゃ意味がない、……それは当然分かっているけれど、それでも時々考えてしまう。僕にこんな趣味があると誰かが気づいたら、どんな反応をするのかな、……なんて。
「馬鹿なヤツだ!」「裏切られた!」と怒るかもしれない。「だせえヤツ」と、距離を置かれるかもしれない。「そんなことをするのがカッコいいとでも思ってるのか?」という説教を長々語られる可能性もある。
実際、自分でも思う時があるんだ。
――悪ぶってるだけかな、って。
それでも、僕の趣味は「嘘をつくこと」だった。
毎日、どこかで、必ず嘘をつく。……そういうルールで、生きることにしていた。
だからほら、今日も今日とて、僕はちゃんと嘘をつく。
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