第6話 魔王討伐

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第6話 魔王討伐

 結婚早々、我が国は不穏な空気に包まれていた。  魔王が魔王軍を引き連れて攻め入って来たのだ。  今は近衛騎士団が魔王軍を必死に抑えているが、それも時間の問題だった。  問題解決のためには、魔王を倒すことしかない。  このために少数精鋭の魔王討伐パーティーが編成された。  ゼ―ヴェリング様をリーダーとして…  ゼ―ヴェリング様はあの日に話してくれた。  自分にもグレーアウトしたジョブがある。  そして、それは「勇者」なのだと…  勇者は唯一魔王を倒すことができる神に選ばれたジョブだ。  だがゼ―ヴェリング様のジョブはグレーアウトしたまま…  私の例からすると、まだ勇者として覚醒していないのではないか。そうだとすると…  途轍もない不安が私の頭を過る。  ゼ―ヴェリング様は「たぶん魔王を倒すことで勇者の称号が得られるのだ」と呑気なことを言っている。  だが、今度ばかりはゼ―ヴェリング様の感情が読めない。  本当に吞気なのか、実は強がりなのか、それとも…  結局、私は涙なしにはゼ―ヴェリング様を送り出すことができなかった。     ◆  3ヵ月後。  魔王討伐の知らせが帝都に届き、皆は喜びに沸き立った。  しかし、ゼ―ヴェリング様は帰ってこない。  そして1週間後。ゼ―ヴェリング様は帰ってきた。(むくろ)となって。  それを見た私は卒倒しそうになるのを何とか耐える。  パーティーメンバーの話によると、魔王との壮絶な戦いの末、重傷を負い、つい2、3時間前までは息があったそうだ。  今こそ復活のギフトの使いどころではないか。  しかし、復活のギフトは皇室の図書館の禁書庫まで調べてもらったのだが、発動条件はわからずじまい。  私はゼ―ヴェリング様の遺体にすがると泣きじゃくった。 「神様。お願いですからレギー様を連れて行かないで。お願い。お願い。………」  その時。  ゼ―ヴェリング様の遺体が金色に輝いたと思うと、ゼ―ヴェリング様が「ううっ」と呻き声を上げた。  喜んでいる暇はなかった。  ゼ―ヴェリング様は蘇生しただけで、まだ傷は治っていない。  私は治癒のギフトを発動し、ゼ―ヴェリング様の傷を治す。  ゼ―ヴェリング様の体が再び金色に包まれ、傷は完全に治癒した。  その瞬間私は悟った。  私がこの世に生まれてきたのはこの日この時のためなのだと…  そして目を覚ましたゼ―ヴェリング様に私は長い長いキスをした。
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