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この人になら、すべてを打ち明けてもいいんじゃないか思った。いや、打ち明けたいと思った。私の醜さ、私のすべてを、この人に理解されたいと思った。
「私は……、卑怯者なんです。」
私は、安住さんや愛子たちのこと、今日あったことを、洗いざらいすべて話した。すると彼女は、褪せた向日葵のような笑みを浮かべ、
「芽衣子さん、人間関係において、一番大切なモノって、なにかわかる?」
と、私に聞いた。彼女の長いまつげが、ぼんやりとした暖色の光の中に溶けていく。
「誰にでも好かれること……? 素敵な笑顔とか、面白い話ができる、とかですか?」
私がそう言い終わると、彼女はこちらへ向き直り、にこやかにこう言った。
「違うわ。 王子さま。 あなたを助けてくれる王子さまを、自分自身で作り出すことよ。」
「王子様?」
「たとえあなたがみんなから非難されても、たとえあなたがみんなから笑われても、あなたの心の王子さまだけは、決してあなたを否定しない。そんな存在を作っておく。そうすれば、心に余裕も生まれて、素敵な笑顔も、困っている誰かを助けることもできるようになるのよ。」
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