第一話 かわいそうにね、芽衣子ちゃん。

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 安住さんは仕事ができない。芋っぽくて、不器用で、ダサいキャラ。でも、私は安住さんが好き。 「すみませんじゃなくてさ、いつ終わるかって聞いてるんですよ。」 「あの、お昼のあいだもがんばりますので」  安住さんとは、入社時、いちばん仲が良かった。最近しゃべっていないが、私は今でも安住さんとしゃべる時だけ、素を出せる。と、思う。 「当たり前だろそんなの?君は人一倍とろくて何もできないんだから、休みなんてあるわけないだろ!?」 「はい……。」  バタン! とアルミのデスクを蹴る音が聞こえた。でも私は、そっちを見ない。いつものことだ。  その時、昼休憩を知らせる、ぎこちなく陽気で無機質なメロディーが会社を包んだ。けられたデスクはまだ震えている。嫌な余韻をフロアに残す。  私は昼休憩のチャイムが鳴ると、笑顔を作り、愛子ちゃんの席に向かう。 「愛子ちゃん! おつかれ! 今日のランチどうする?」 「食堂かな。」
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