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安住さんは仕事ができない。芋っぽくて、不器用で、ダサいキャラ。でも、私は安住さんが好き。
「すみませんじゃなくてさ、いつ終わるかって聞いてるんですよ。」
「あの、お昼のあいだもがんばりますので」
安住さんとは、入社時、いちばん仲が良かった。最近しゃべっていないが、私は今でも安住さんとしゃべる時だけ、素を出せる。と、思う。
「当たり前だろそんなの?君は人一倍とろくて何もできないんだから、休みなんてあるわけないだろ!?」
「はい……。」
バタン! とアルミのデスクを蹴る音が聞こえた。でも私は、そっちを見ない。いつものことだ。
その時、昼休憩を知らせる、ぎこちなく陽気で無機質なメロディーが会社を包んだ。けられたデスクはまだ震えている。嫌な余韻をフロアに残す。
私は昼休憩のチャイムが鳴ると、笑顔を作り、愛子ちゃんの席に向かう。
「愛子ちゃん! おつかれ! 今日のランチどうする?」
「食堂かな。」
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