4人が本棚に入れています
本棚に追加
愛子ちゃんはこちらを見ることもなく、さらりと答えた。愛子ちゃんはかわいい。仕事もできる。休日はルブタンのピンヒールなんか履いちゃうタイプ。全体的に、なんかこう、ピンクと黄色のキラキラで、包まれている。実家もお金持ちらしく、いつも周りに誰かいて、いつも誰かに褒められて。多分、人生において、挫折とか、なかったんだろうなと、思う。社内の人気者の愛子ちゃん。そんな愛子ちゃんのことを、私も好きにならなければならない。
「わかった!」
私たちの部署から食堂はまあまあ遠い。二人で歩いていると、だんだん気まずくなってくる。一歩一歩歩くたび、何か話さなければ、という焦りが、私の胸を締め上げる。
「あ、あの、そういえばさっきまた安住さんが部長に怒られててさぁ。」
「いつものことじゃない。あの子、会社辞めちゃえばいいのにね。」
「まあそうだよねぇ~。私だったら耐えられないなぁ~。」
最初のコメントを投稿しよう!