第一話 かわいそうにね、芽衣子ちゃん。

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 それは、私が他社に出した新しい企画書だった。血の気が引いた。と同時に、みんなの視線が一気に、私に突き刺さるのがわかった。胃が逆流する感覚。それと、静まり返ったオフィスに響く、コーヒーメーカーの呻き声が、やけに大きく聞こえる。私は今オフィスで、素っ裸になった気分だ。全裸に剥かれて突っ立って、みんなに囲まれ見られている。今にも叫びたい。死にたい。逃げたい。突発的な拒否反応と、脂汗が、頭からじわじわと垂れてくる。てか、どこを間違えた? 取り返しはつくのか? 私だけで済むミスなのか? ああ、みんなからバカにされる。みんなから嫌われる。もう嫌だ。限界だ。逃げたい。死にたい。どこか遠いところに行きたい。恥ずかしさと罪悪感と情けなさで、今にも泣きそうになった。でも、私は大人で、社内でもそれなりなわけで、愛子ちゃんたちも今私を見ていて、安住さんも、今の私の姿を……。  気が付くと、自分のデスクで涙をかみ殺していた。頭は真っ白で、「ごめんなさい」という言葉を、頭の中で反芻していた。少しでも気を緩めると、泣いてしまう。でも、そういう感情になっているときは、大概すでに泣いている。
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