1人が本棚に入れています
本棚に追加
そうして、いつのまにかばあさんと居間でちゃぶ台を挟んで座り、緑茶を入れられ。
耕平は、ただ呆然と座っていた。
「いやね、あんたを見た瞬間、思い出したのよ」
ばあさんは、涙を両目いっぱいに溜めながら耕平を見つめた。目じりに皺を寄せている。泣きながら笑っていた。長い間探していたものをやっと見つけたような目だった。
ばあさんの後ろの仏壇が目に入った。 位牌が黒ずんだ骨のようにあった。
耕平は、自分より少し年下の青年が写っている写真を見つけた。
仏壇の主を、なんとなく察した。
「息子さんを?」
ばあさんは、耕平の言葉には答えなかった。両手で湯飲みをくるむと、お茶をズ、と一口飲んで息を吐いた。
最初のコメントを投稿しよう!