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チームが解き明かした未来予知ツールは『ラプラス』と名づけられ、ラプラスが導き出した未来は逐一世界各国に共有されるようになった。しかしすべての国は何年経ってもラプラスが知る「重大な未来」を頑なに世間に発表しようとはしなかった。気休めに伝わってくる申し訳程度の「未来」はその日の天気や気温、あるいは実害のない地震や大雨、台風などの小規模な災害に留まり、明確に役立つ情報は一切流れない。次第に人々は、
「ラプラスが言い当てる未来なんて所詮取るに足らない」
と結論付け、ラプラスが日々発表する些末な情報に耳を貸さなくなった。そのうえでラプラスは、都度正確な未来予知を行い続けていた。
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