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はじまらない
そう言えばこの作品、夏休みのはずなのに完全に日常だよね?
「日常も夏休みなのですよ」
ボクの思考を読んだように束砂パパが声をかけてきた。
「好宗ちゃんは白い海パンを買おうとしてますね? ちゃんとセパレーツで白でなきゃ駄目です。渚の視線を集めなきゃ駄目です。腰フリフリ歩かなきゃ駄目です。渚で食べるかき氷はちょっとほっぺにつけなきゃ駄目です。浮き輪は必須です。できれば海の中で水着外れちゃってイケメンに助けてもらってロマンスに発展してください。えふ姉も別でロマンスに発展して、夕日眺めながらお互いの出来たての彼氏を紹介してください。夜は彼氏と波と戯れてください。そうでなければ……」
「そうでなければ?」
「許さない」
ボクはとっさに土下座する。
「ごめんなさい! 無理です! あと期待が大きすぎて無理です! もう解放してください!」
「いいでしょう。とりあえずセパレーツの水着だけで勘弁してあげましょう。もちろん白です」
解放は……叶わなかった……。
おしまい
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