「おやすみなさい」の声をきかせて

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最初に彼に会ったのはただの偶然だった。 夏休みに入って初めての土曜日、こんやは熱帯夜になると、ネットの天気予報にかいてあった。 むーんとした湿気と気だるさで暑くてしかたない。 炭酸のジュースでも買おうと、がま口の小銭入れを持っていざ自販機をめざす。 ヨレたTシャツに短パン、サンダル姿で玄関を出る。 5歩で自販機に着くと、先客が私の欲しかったグレープソーダを買っているところだった。 ガタンと1本出てくると、先客は立て続けに同じものを3本購入。3本目を買ったあと、みごと購入ボタンにバツ印。目の前で売り切れてしまった。 「あっちゃー……」 思わず声が出たので、先客が振り返る。
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