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「亜紀子さん!これは一体どう言う事なんですか?」
血相を変えた義母が一通の封書をテーブルの上に叩きつけると、腕を組みながら私を睨みつけていた。
私は何の変哲も無い、おそらく広告であろう封書を手に取った。
「ショッピングモールの広告かと思いますが、これが何か?」
「何かじゃ無いわよ!どうして宛名が鈴木なの?あなたの名字は確か澤田でしょ?」
「‥‥はい、旧姓は‥‥」
「きゅ、旧姓?あなたふざけてるの?確かにあなたと智彦は婚約してた、けど籍を入れる前に智彦は事故で死んだのよ!」
「‥‥‥」
「‥‥、まさかあなた智彦の財産目当てで」
「そ、そんな財産目当てだなんて、いくら何でも酷すぎます!」
理不尽過ぎる義母の言葉に手にしていた封書をテーブルに叩きつけ返した。
「じゃあどうしてウチの名字を名乗ってるんですか?説明次第では然るべき何処へ訴えますからね!」
義母は手にしていた携帯を開くと、奥の部屋へと歩いて行った。
「あなた?今すぐ来て頂戴!」
恐らく義母は義父に電話を掛けたようだった。
智彦さんの四十九日法要の日‥‥
夫婦の証が幕を閉じようとしていた。
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