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「失礼しますねぇ、はい、これは私からのおごり」
女将さんがビールをグラスに注いだ。
「生は直ぐお持ちしますので、智くんがお連れさんを連れて来たのはあなたが初めてなのよ?きっと、智くんの特別な一人だと確信したから、ささやかなお祝い、あはは、勝手な事言ってごめんなさいね」
「おっ、女将さん!、そんなんじゃないですよ彼女が困惑しますよ!」
私は、智彦さんが言うように困惑してた。
何が何だかわからないまま、女将さんの勢いに釣られて乾杯した。
「料理、今すぐお持ちしますから、あぁ、何だか嬉しくて涙がでそう、あはは」
女将さんはそう言うと座敷を後にした。
「気を悪くしたら、謝ります。すみません」
「そんなことありませんよ。ただ女将さんの勢いにビックリしちゃって‥‥」
「良かった。まったく女将さんたら」
会話もままならない状況で料理が運ばれてきた。
「智さんはいい人よ‥‥、しっかり捕まえておきなさい、あはは」
「えっ?あっ、はい‥‥、いぇ‥‥」
また女将さんの勢いに釣られてしまった。
「頃合いを見計らって、またお持ちしますね。ごゆっくり‥‥、あぁ嬉しいったらありゃしない」
女将さんは、そう言いながら座敷を後にした。
暫く、料理を食べながら智彦さんと他愛もない話しをしながら笑いあった。
「さっき、女将さんが言ってた事‥‥‥、実は‥‥‥、満更でもないんだ」
「えっ?」
「亜紀子さん!」
突然智彦さんは勢いよく正座して私を真っ直ぐ見た。
何故か私も咄嗟に正座した。
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