17人が本棚に入れています
本棚に追加
それから一週間が過ぎた金曜日のお昼休みに智彦さんからメールが届いた。
急で悪いけど今晩空いてますか?
もし都合が良ければ食事でもと思って
勿論、私はオッケーの返事をした。
仕事を終えて、待ち合わせの駅前に急いだ。
秋が目の前に迫っているのか、夕方の風が少し肌寒く感じた。
「急に予定して悪かったね」
「いえ、ガラガラでしたから」
「あはは、ガラガラかぁ‥‥、あなたに逢いたい気持ちを中々抑えきれなくてね」
智彦さんの言葉に驚いたと同時にストレートな人なんだと勝手に思い込んだ。
「食べたい物ありますか?」
「特には、お任せします」
智彦さんの背中を眺めながら近くの小料理屋へと入った。
「あまり店を知らなくて、此処で大丈夫ですか?」
「あっ、はい、全然大丈夫です」
こぢんまりんとした小料理屋の一番奥の座敷に陣取った。
「あらっ、鈴木さん今日はお連れさんと?」
「えぇ、まぁ‥‥、取引先の方です」
割烹着姿の女将さんらしき人がおしぼりとお茶をテーブルに置きながら智彦さんに聞いてきた。
「直ぐにお通し持ってきますね」
「生を二つお願いします。後は女将に任せます」
女将さんは笑顔で座敷を後にした。
最初のコメントを投稿しよう!