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「み、南さん!?」
「おう、蘭丸。久しぶりだな」
慌てて立ち上がろうとして足がもつれた。その光景に「ジジイかよ!」とカラカラと気持ちよさそうに笑う南に苦笑いを向ける。
「ホント久しぶりっすね、今まで何してたんすか」
「ああ、ちょっと世界を放浪してた」
「……は?」
突拍子もない発言に頭をフル回転させる。そんな蘭丸を試すかのようにニヤニヤする南。ただ五年前、解散ライブで「またな!」と言って見せた笑みと重なって、胸の辺りが急速に沸騰し始める。そして甦ってくる記憶。爆竹の弾ける中でとびきりデカい三尺玉が炸裂するような存在感を放つバンドの姿を——
もしかして、本当に——
何も言葉が出てこない代わりに自然と拳を握った。そんな蘭丸に昔と変わらない挑発するような攻撃的な笑みを向けて、グッバイトニーのフロントマン、南耀二朗は言った。
「さっき、阿部ちゃんとこ行ってよ、決めてきた。ライブするぞ、蘭丸」
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