3Bのトリセツ〜美容師Kの場合〜

1/3
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ

3Bのトリセツ〜美容師Kの場合〜

まずその①、歳上美容師のKの場合。 Kと知り合ったのは通っていた美容室。 そう、言わずもがな最初は美容師とお客さんという関係だった。 最初は私が高校生の頃、その美容室は最寄り駅前にあり、高校の通学ルートで毎日お店の前を通っていた。 店頭がガラス張りになっており、中の人の様子がよくわかるお店だった。 同じ駅を利用する友人の間で「あの美容師さんかっこいいなぁ」と話題にしていたのがKだった。 私が17歳の時だったから、Kは23歳。 まだまだお子ちゃまな少女からは、相当大人の男性に見えた。 彼はいつもクロムハーツのネックレスを身に付けていて、ファッションはその当時人気だったオーランド・ブルームを意識したこなれたデニムコーデ。 もちろんシャツは、右の前身頃だけデニムにインする。 我が物顔でサーフファッションに身を包む、田舎者の同級生男子など比べ物にならない。 友人がその美容室に通っていたこともあり、私も紹介で通うことになった。 もちろん担当はKを指名。 それからは1〜2ヶ月に一回のペースで来店し、美容師とお客さんという距離感を保っていた。 Kには4年程付き合っている恋人が居た。 長年の情で付き合ってるけど、最近結婚したいアピールがすごいので別れたいと思っていると言っていた。 こんな発言をする男、今思えばクズに決まってるのに。 でもその時の私はKとお近付きになりたかったので、別れてくれたらいいのにと思っていた。 私も私で純粋な女子高生ではなくなり、それなりに恋愛も経て大人になりつつあった。 彼と急接近したのはそんな時、美容室に通い始めて2年ほど経った頃だった。 最初はカットモデルに誘われた。 お店が閉店した後に髪をセットしてスタイリング写真を撮るのだ。 他のスタッフはもう帰ってるし、お店には2人きり。 チャラい美容師がお客さんと近付く常套手段。 そんなことも理解しているくせに、馬鹿なフリをして行ってやった。 このまま遊ばれて終わりかなぁ、なんて思っていたが思いの外トントン拍子で付き合う事になったのだ。 彼女とも別れ、正式に恋人となった。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!