4人が本棚に入れています
本棚に追加
「推しが、アイドルグループを脱退?」
嘘でしょ、と思ってSNSを見る。そして続く言葉で言葉を失った。
「芸能界引退、そして結婚? あり得ない、あり得ないあり得ない」
どうして。なんで。あり得ちゃいけない。こんなの、悪い夢だ。
私の推しが、結婚。おめでたいと分かっていても、結婚だけなら同性だから、祝えても。
「引退、なんて」
独り言を言いながら手に持っていたスマホを落とす。画面がガシャンと割れる音がした。何もかもが終わりだと思った。
いやだ。いやだ。嘘であれ。こんなの、絶対、誰かが見せてる幻覚だ。本当の推しは、きっとアイドル活動の練習に勤しんでいるはずだ。ない。こんなの、ない。
「うえっ」
吐き気を催してトイレに駆け込む。推しの活動頻度が減って、ろくに食べてない胃の中には、吐き出すものすらなかった。
最初のコメントを投稿しよう!