推しの結婚

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 東京に行くついでに、配信で応援している女の子の舞台を見てみよう。  そんな気軽な気持ちで見に行ったのに、その日、その瞬間に彼女は本当の私の最推しになったのだ。  私にとって仕事や家は、本当の居場所とは言えなかった。縋るようにネットにいつき、対して好きでもない趣味を持つもの同士で馴れ合い、心の傷を癒すように舐め合った。  ずっと続けていた絵を描くと言う昔からの趣味は、後から産まれた妹にあっさり抜かされやる気をなくし、現実逃避にはじめた小説は特に結果が出ることもなく。  小さな頃から憧れたファッションデザイナーや可愛い女の子になることは生まれつきのスペックのせいで叶う可能性すらなかった。
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