推しの結婚

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 だから。せめて可愛い女の子を応援して、喜んでもらうことで自己肯定感を埋めたくて。顔見知り程度のショップ店員が始めた配信コンテストのために、配信アプリをインストールした。無課金アイテムを集め、彼女に送り、お礼を言われる。それだけで、自分がいる意味がある気がした。  推しに会ったのはその配信コンテストが終わり、しばらくしてアプリを触らなくてなって数ヶ月が経った頃のことだ。 「暇」  そう呟きながらなんとなく配信アプリを開き、自分好みの可愛い女の子が写ってる画面を叩いた。そこにいたのが、今の推しだった。  長い黒髪に、陶器のような白い肌。それにどこか不安そうな大きな瞳のなんだか不思議な魅力の女の子。人に媚びるのが苦手そうな、たどたどしいけれど丁寧な喋りに惹かれ、私は彼女の配信に通うことにした。
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