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メンバーのひとりが、脱退し、半年もたたないうちにアイドルグループは活動休止してしまったのだ。私は脱力して、ただひたすらにぐったりした。
あれだけ楽しみにしていた、コロナ禍が収まってからいくライブが白紙になったからだ。舞台女優の推しもよかったけれど、アイドルの推しも見たかった。そのために、私はその頃には一人暮らしを始め、転職を決めていた。
なんのために頑張ってきたのかわからなくなった私は、生きる屍のように推しの配信をまった。推しが笑顔でいれば、私も笑顔になれた。
だけれど今後が決まり切ってない推しの不安そうな顔を見るたび、私の人生の方角もどこを向いていいかわからなくて不安になった。
どこを向いて歩いていいのかわからないま
ま、私はフラフラとした足取りで推しを追いかけた。
「みんな、私を信じて。絶対頑張るから」
推しのその言葉だけが支えだった。
何もできない一般人の私は、推しに物資や手紙を送るぐらいしかできなくて。
もし私が、権力者だったら。メンバーになって彼女を支えれる、可愛い女の子だったら。そんなバカな妄想を繰り返しては、できることはないかと考えて、ため息をついた。
筆を折ったはずの下手くそな絵を使い、推したちの似顔絵を描いたり、SNSで拡散したり。
とにかくみんなに推しの良さを知ってもらいたかった。有名になって、推しが幸せになって欲しかった。
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