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熱のこもったチョコレートブラウンの双眸が私をじっと見つめている。
何なの。
何が目的なの?
人懐こいと思わせて
油断も隙もない。
表情が険しくなるのがわかった。
やっぱり似てなんかいない。
あの時成瀬さんと初めて交わしたキスは少なくともまだ想い合っていたのだから。
彼は私の怒りに疎いような甘い顔のまま、お互いの額が触れ合う近さまで来ると、乞うように囁いた。
「お願いがあるんだけど」
「え?」
「俺に教えてくれないかな?」
「え、何…」
「極上の嘘のつき方を教えてよ」
「うそ……?」
「うん、嘘付くのがお姉さん、上手いんでしょ?」
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