265人が本棚に入れています
本棚に追加
そして、山盛りのポテトの大皿を前に三人でテーブルの前に座って乾杯。
「俺達三人の出逢いにカンパーイ!」
律は声高らかに言うと、イケメン君と肩を組んだ。
「という訳で、今日から俺のマブダチになった涙君です」
涙、というのか。やっと知ったよ。
一口お酒を飲んで、改めて彼を眺めた。
うん、やっぱり顔は悪くない。どころか、どこぞのアイドルか俳優やっていますと言われても謙遜ない綺麗な顔立ちだ。
いや、待て、今日から俺のマブダチってどういうこと?
涙君は私に向かって、ニッコリと笑って手を差し伸べた。
「初めまして、僕、月夜野涙です。暫くこちらでお世話になります」
「あ、どうも…」
え、何々?
危うく手を差し出そうとしたけれど、ちょっと待って今、お世話になるとかなんとか言わなかった?
「ねねね、待って!お世話になるってどういうこと、律?」
「今日から住むってことですよ、お姉さん」
「はぁ?!」
口を挟んできた涙君はニッコリと微笑む。なんて愛くるしい笑顔…魅力的だ。
いやいやいや!そうじゃなーい!
「律っ」
聞き耳持たずの弟はちょっとトイレとリビングを出て行ってしまい、涙君と二人きりになってしまう。
――――気まずい。
涙君はサワー缶のラベルを真正面にくるりと向け、物珍しそうに眺めながら一口、二口と飲んだ。
「とにかく…君にどんな事情があるのかは知らないけど、この家に住むのは駄目。律は職場の独身寮に住んでいるにしてもシェアは認められてないはずだし。それに、私は女で君はおと…」
男でと一緒には暮らせない理由をはっきり言っておこうと彼の方に身を乗り出したら、涙君は急にトロンとしたまなざしを私に向けた。さっきより頬が赤みを帯びている。
もしかして、もう酔ってる?
まだ二口しか飲んでないのに。
涙君も私の方に身を乗り出して来たから、向かい合って見つめ合う形になった。
「じゃあさ、僕のこと、犬か猫だと思ってよ」
最初のコメントを投稿しよう!