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☆
「お帰りなさい」
4LDKのタワーマンション。
その最上階に私と俊一さんは居を構えていた。
「ただいま、杏奈ちゃん」
薄い唇の口角を上げて、俊一さんが私のあたまに手を乗せる。
10歳も離れていて、しかも未成年の私に、彼はそういう可愛がり方をする。
まるで猫に接するかのように。
「ご飯できてるよ」
「ああ、いい。ちょっと食べてきた」
「そう」
折角まぜご飯が美味しく炊けたのに……。
彼は私に連絡もせずに、よく外食してくる。
俊一さんは俊一さんなりの交友関係があるんだろうから、私は何も言わない。
仕事の話も滅多にしない。
専業主婦の私が日中何をしているかも気にしないみたいだ。
今日は彼氏のリョウの許にいた。
全裸で。
なんて、言えるわけもないけど。
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