こころの翼

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IT企業社長。 パイロット。 はたまたデイトレーダー。 父から、結婚相手にはそれらの職業の男性にしろと言われてきた。 彼の中ではそれらが3大お金持ちだという。 父娘ふたり暮らしだった。 母は私を産んで早くに男と蒸発した。 医師である父は、ひとり娘には幸せになって欲しいと、どこの伝を辿ってきたのかお見合いの話を持ち込んできた。 相手は父の執念で、望み通りのパイロットをしている年上の男性。 学生時代にスポーツで大怪我をした男の子の手術を、父が助けたようなもの。 父は命の恩人と言う。だから長年の夢であった飛行機乗りになれたと彼は話してくれた。 そして高校を卒業と同時に無理矢理結婚させられた。 パイロットの彼――遠野俊一は、悪いひとじゃなかった。 ひと言でいうと、優しい。 ただそれに尽きる。 “無理矢理”結婚、というのは私の事情も考えずに、周りがあれこれ話を進めたことだ。 私にはつきあっている彼氏がいたのに。
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