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第一章:マイラル皇国 ジュハの村
どれくらい経ったのだろうか。
ずっと不思議な夢を見ていた気がする。
第36代皇帝、エグゼリール・ダン・マイラルが統治する皇国の隅にある、ここジュハの村は、貧富の差もさほどなく、それぞれが命じられた役割を与えられて生活している。
モーヴという名の、齢はたちそこそこの青年の職業は家具職人だった。
モーヴはたまに不思議な夢を見た。
魔法のない世界で、自分たちよりも先進的な生活のある夢だ。
この村にも通信機はあるが、それらは魔法で行われている。
魔力を持つものは魔導学校へ、体力と勇気があるもの勇者養成所へ行き、皇国の認定を得て魔導士、もしくは勇者になる。
魔力はどの人間にも多少はあるようだが、勇者はその中でも魔力の質が自分の体にしか作用しない場合に選ばれる選択肢となり得る。
そして人類の大半は魔力はほとんど持ち合わせていない。
モーヴもその家族も魔法や特別な力を持ち合わせていることはなかった。
皇国の認定を受けていないものは無闇に殺生をすることは例え平和のためとはいえ許されてはいなかった。それは危険が伴うこと、魔道士、勇者の仕事を奪うこと、その他諸々政治的な要因もある。
そのため、資格を持たない一般人が魔物や一部の動物を倒すと動物愛護法違反となり、厳重な処罰を受けるのだ。
狩人は皇国へ申請を出せば武器や魔法を用いて仕留めることは許可されているが、そこにも細かな規定があるようだった。
そういえば、動物愛護の精神は、夢の中でも同じようだった。
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