第一章:マイラル皇国 ジュハの村

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「兄さん、今日は森に行くんでしょ?」 「すっかり忘れてた。」 というより、記憶がないまぜになって思い出せなかった。 「エルケ、下で待ってるよ。」 ハロンは呆れた様子で、それだけ言い残すと部屋を出て行った。 パタパタと響く内履きの音が遠のいていく。 扉をしっかり閉めていなかったのか、扉の隙間から階下の会話が漏れて聞こえてきた。 何やら和やかで楽しそうな雰囲気だ。それと同時に、朝食のいい匂いがした。 パンの焼ける匂いと、何かの肉を焼いた匂い、そして木の香り。 モーヴの腹で虫が大きな音を上げる。 とっとと着替えて、朝食を食べよう。 部屋を見渡し、かけてあった服を着る。 動きやすい長袖のボタンシャツに皮のズボンとサスペンダー。 着替えた姿は、我ながら男前だと思う。
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