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「兄さん、今日は森に行くんでしょ?」
「すっかり忘れてた。」
というより、記憶がないまぜになって思い出せなかった。
「エルケ、下で待ってるよ。」
ハロンは呆れた様子で、それだけ言い残すと部屋を出て行った。
パタパタと響く内履きの音が遠のいていく。
扉をしっかり閉めていなかったのか、扉の隙間から階下の会話が漏れて聞こえてきた。
何やら和やかで楽しそうな雰囲気だ。それと同時に、朝食のいい匂いがした。
パンの焼ける匂いと、何かの肉を焼いた匂い、そして木の香り。
モーヴの腹で虫が大きな音を上げる。
とっとと着替えて、朝食を食べよう。
部屋を見渡し、かけてあった服を着る。
動きやすい長袖のボタンシャツに皮のズボンとサスペンダー。
着替えた姿は、我ながら男前だと思う。
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