第二十一章 温かな未来

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「何を編んでるんだ?」 「赤ちゃんの、靴下です」  柔らかな毛糸で紡がれるのは、小さな小さな靴下だ。 「気が早いな」  玄馬は笑って、幸樹の腹に手を当てた。 「ん? 動いた気がするぞ?」 「まだ4週間ですよ? 玄馬さんこそ、気が早いなぁ」 「だが、こうしていると」  玄馬はソファに掛けている幸樹の膝に頭を預け、その腹部を抱いた。 「妙に、落ち着く。幸せな気分に、なれる」 「玄馬さん、お父さんになるからですよ。きっと」 「お父さん、か」  そこで玄馬は、顔を幸樹に向けた。 「遠山さんや泉田さんみたいな、立派な父親になるよ」 「玄馬さんなら、安心できます」  膝上の、玄馬の髪をなでながら、幸樹は微笑んだ。
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