第二十一章 温かな未来

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「出産までの里帰りは、どうする?」 「35週ごろに、遠山さんのカフェへ行きます」 「会いに行くよ。毎日、カフェに通う」 「無理しないでください。お仕事、ちょうど忙しいでしょう?」  それには、首を横に振る玄馬だ。  何をおいても、幸樹とお腹の赤ちゃんに勝る大切な存在は、無いのだ。 「絶対、毎日会いに行くよ」 「ふふっ。カフェに立ち退きを迫ってた頃みたいですね」 「それはもう、言わないでくれ」  あの頃はただ、幸樹のことが気になって。  それでいて、立ち退きに利用しよう、なんて姑息なことを考えていて。 「今は、幸樹のことが愛しくて恋しいだけだ」 「……嬉しいです」  幸樹は、体をかがめて玄馬にキスをした。  はじめは、額に。  それから、頬に。  そして、唇に口づけた。  温かな体温を分かち合い、温かな時間を共有した。  幸せなひとときは、温かな未来を約束しているようだった。
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