第一章 七夕の出会い

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「新庄くん、塩を持ってきてくれ!」 「はい?」 「塩を撒いて清めないと、仕事にならないよ!」  そのままの怒気をはらんだ様子で、遠山は幸樹に言った。 「夕食の約束なんて、すっぽかしていいからね!」 「え、でも。九丈さん、コーヒー代を払わずに行ってしまわれました」 「何だって!?」  玄馬から代金を徴収する、という名目で、幸樹は7時に待ち合わせの駅前へ出かけることに決めた。  できることなら、遠山のカフェから手を退いてもらうように頼むつもりもあった。 「素敵な人だったな。でも、まさかヤクザさんだなんて」  幸樹は、玄馬の顔や姿を思い浮かべた。  クールな印象だったけど、ハートは熱いかもしれない。 「話せばきっと、解ってくれる」  そんな希望を胸に、約束の場所へ急いだ。
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