3話 ふたつめのヒミツ

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  *  あの日。あたしは本当は修学旅行になんか行きたくなかった。小さなころからおねしょをしていたあたしは、いつだってお泊まりイベントはサボっていた。   クラスでは明るい、それなりに友達もいたあたし。そのポジションを失いたくはなかったから。だから、お母さんにもお願いしたのに。 「ダメよ。夢花。こっそり紙オムツしたらいいでしょう。小学校の修学旅行は一生に一度なの。行きなさい!」 「イヤだよ! もしバレたらどうするの! 恥ずかしいよ!」 「なにが恥ずかしいの。仕方がないことでしょ! まだ体ができあがってないんだから、夢花たちは。おねしょぐらい誰でもするわよ」 「しないもん! あたしだけだよ! 絶対」 「大丈夫だから、行きなさい! 絶対よ!! 」  結局お母さんは言い分を変えてくれなくて。  あたしはしぶしぶ紙おむつを持って修学旅行に行くハメになったのだ。
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