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勉強だって、運動だって目立たないぐらいにしかできないし。ごく普通の、女の子だよ?
そう、アレさえしなければ、至って普通のどこにでもいる女の子だったんだ。あたしは。
――やーいやーい。
――6年生にもなって、恥ずかしいの! 赤ちゃんみたい!
嫌な思い出が、頭に蘇る。考えたくない。忘れたい。でも、朝起きるたびに嫌でも思い出してしまう、あの嫌な出来事。
「ほら、中に入ろう。ユメカ」
「アース王子」
ぐい、と引っ張られあたしは門をくぐる。
「うわ、すごい」
思わず反射的に声が出た。
あちらこちらに咲いた大輪の薔薇が、美しかった。本当に、絵本や漫画の中の世界にしか思えなかった。
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