1話 集合

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1話 集合

 ある日、目が覚めたら、そこは見知らぬ異世界だった。だって、目の前にスライムがいて、変な恐竜みたいなモンスターもいる。ここが現代日本なわけがない。  ピンク色の空も、明らかに現実ではあり得ない。目の前を通り過ぎていく人々の服も、まるでゲームの中のようだった。  確か、さっきまで私は自分の部屋にいたはずだ。そして、光り輝く鏡を見て、手を伸ばして。……多分鏡の中に吸い込まれたんだ。それで、気絶して、目を覚まして今に至る。  「嘘、だ」  でも、きっとこれは夢じゃない。あたしの膝は、ほんのり血が滲んで痛いし。部屋にいた時のままの、ファンシーな部屋着のままのあたしの髪は、無造作に一つで結ばれているままだ。当然、足は裸足のままだ。 「大丈夫?」  目の前には、青い髪の綺麗な王子様っぽい男の子がいて。綺麗な金色の切長の瞳にあたしを写してジッと優しく見つめていた。  あたしはドギマギして何も言えないまま、ウンウンとうなずく。どうやら彼らは日本語が話せるらしい。でも、ここはきっと日本じゃない。
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