#195 徳島ラーメン再現

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 台所の作業台に視線をやった香織さんが、顔をほころばせた。 82038274-60c8-4024-95c0-26da52cd67ea 「近くに徳島ラーメンを出前してくれるお店があったのね」 「違うよ。俺が作った」 「え! 真也くんが?」 「うん。話はあと。テーブルに運んで」 「わかった」  香織さんに頼んで、熱々の鉢をダイニングテーブルに運んでもらう。 「さ、熱いうちに食べよう」 「そうね」  軽く手を合わせてから、俺は生卵を崩した。スープに溶けていく卵。行方不明になる前に、豚バラ肉を黄身にくぐらせて頬張る。黄身をまとってまろやかになった豚バラ肉。美味しい。 「真也くん、完璧な再現度じゃない」 「まぁ、九十点ってとこかな」 「またまた、謙遜しちゃって」 「ほら、あれだよ。俺が完璧に作っちゃったら、店の顔をつぶすじゃん」  香織さんが苦笑いをする。  確かに、俺が作ったラーメンは店のものの足元にも及ばない。だがまぁ楽しく作れたし美味しく食べている。 「そうだな。家で手軽に楽しめるという点では百点満点だな」 「真也くんはそうでなくっちゃ」  満足した俺は、最後まで美味しく食べ切った。
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