1章【導きの森】

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【番外】 ヤマネ  僕が猫に助けられたのはずっと昔、あの頃はみんな戦ばっかりで結構荒れていた思い出、だからまだ特性をうまく使えなかった僕はほかの奴らにとって格好の餌食、さっさと殺して食べて力をもらってしまおうってやつらが多かった。  そんな時に、猫が助けてくれたんだ、僕だって知ってる、猫ことアイニは72柱に選ばれた力を持つ実力者ってこと元々はどこかの王様が呼んだ悪魔達のことだったけど、こちらでは魔王や神々と並んだり同等の実力者達の事を言う。  実力者たちはみんな憧れるし部下になりたがってるけど、その分危ない人も勿論いる拷問するとか実験するとか色々怖いうわさを聞いたこともある。  猫はその中で放火魔と言われるほど炎魔法の使い手だ助けられた瞬間、僕はもちろん驚いたけど、燃やされるかもしれないと思って怖かった。  でも、助けた猫はそんなこともしなかった猫の気まぐれと言わんばかりに 僕の話を聞いてその日から助けた恩義という名目でちょこちょことこき使われるようになった。  最初は怖かったけど、次第に僕を食べようとしていた悪魔達が警戒して ちょっかいをかけてこなくなった事や気まぐれに僕の特性を強化する手伝いをしてくれた事もあり次第に僕は迷惑な時はあるけど、そんなに怖くなくなっていた。 (あ、でもやっぱたまに怖いこともある訂正訂正・・・・・・)  そんな、猫がなんと女の子の契約者を連れてきたではないか、それも人間だ! 最初はこのまま食べてしまうのだろうかと気になったけどどうやらそうじゃない。  召喚なんて数十年~数百年間隔で行われてるとは聞いてるけど、猫が召喚契約した話は一度も聞いた事がなかった、彼女と会話している中で不安がふつふつとわいてくる。  彼女が就寝した頃、僕のベッドに大胆に寝そべった猫にその事を聞いてみた。 「ねぇ、猫君はあのアリスをどうするつもりだい? 食べちゃうのかい?」  それを聞いた猫は一瞬真面目顔をしたかと思うとフッと笑う。 「どうなるかはアリス次第だけどな、とりあえず今はそのつもりすらないぜ」  今はということは今後はそうなるかもしれないのだろうか、契約が大事なのはわかっている、それでもこんな世界に来て目を輝かせながら魔法や魔道具、魔界について聞いている、あの女の子をできたら食べてほしくないなぁと僕は思ってしまった。  僕は何も言わず、僕のベッドに横になる、アイニに寄りすぎだと怒られても知らんぷりをすることにした。 「そういえば、あの子とっても・・・・・・・・・・・・たくましいね」 そもそも、人間の魔力もない子がこんな世界に来たいだなんて、ましてや、ジャバウォックに会ってはないけど結構、死と直面しそうな場面を見たのに恐怖でもっと震えたり泣き叫ぶかと思っていた。  この世界を選び連れ込んだのは猫だけど彼女は彼女で 結構・・・・・・天然、鋼メンタル色々言葉が浮かんだが僕はあえてその言葉を選んだ。 「だろ? そこが気に入ってんのさ」 と猫はご機嫌に言った。
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