3人が本棚に入れています
本棚に追加
■4話 森を抜ける
翌朝、朝食を終えるとヤマネの家を後にした別れ際にヤマネにお礼も含めて挨拶していると尻尾をゆらゆらさせながら喜んでいるようだった。
「アリス、大変かと思うけど頑張ってね、何かあったら相談くらいにはのるよ〜」
そうご機嫌に言うと手を振ってくれた、私はまたありがとうと感謝を言いつつヤマネの家を後にした。
***
アイニと一緒にまた森の中へ進もうとした瞬間、私は昨日のことを思い出す。
「アイニ、もうジャバウォックはいないの?」
「あぁ、それにかんしてだけど、早朝調べたから大丈夫、あいつはもう移動して行ったけどあの先は毒で当分通れないから、少し迂回していくぜ」
そうか、あの恐ろしいものはもういないのかとホッとした瞬間、アイニは私の手をとって森の中を進んでいった。
やっぱり、手はつなぐのかと恥ずかしくなりながら私はアイニに聞いてみた。
「アイニ、やっぱり手は繋ぐの・・・・・・?」
「あぁ、ほら迷子になったら大変だろう?」
大変だけれど何もここまで・・・・・・と思いながらやっぱり手は離してくれないみたいだと恥ずかしがりながら私は歩いて行った。
小一時間ほどだろうか、森をしばらく歩いていると気になった看板が見えた。
『この先 ツァーカブ 剣王の領土』
「ツァーカブ・・・・・・?」
「そうそう、俺達がいく場所さ一応俺の家というか・・・・・・ねぐらもあるんで安全っちゃ安全だけど・・・・・・」
途中で段々と嫌そうな顔をして話したため私はどうしたのだろうかと思い聞いてみる、どうやら、アイニの家というわけではなくとある人の家でそこに住まわせている代わりに色々しているらしい。
ただ、その人の部下みたいな人達もいるのでその人達に私を会わせるのがとても嫌らしい、ヤマネ以上に変わっているため私に何かするんじゃないのかと今から思うと億劫なんだとか。
「まぁ基本悪魔だからそういう奴が多いのは仕方ないんだけどね、まぁでもツァーカブ自体は滅茶苦茶治安はしっかりしてるからそこは安心してほしい。 でも、そいつらには会わないで・・・・・・いや会ってもあんまり交流しないでくれよ! 絶対!」
アイニは焦りながら私に言った、ここにきてこういう表情を見せるのはとても新鮮で少し意外だった。
余程、私に会わせたくないらしいがちょっとそれはそれで気になってしまうなぁと思ってしまった。
先程のツァーカブの看板がどんどん多くなっているのがわかる、私は魔界の国々について聞いてみた、もちろんツァーカブ以外にも沢山ある、むしろありすぎるらしい、しかしその中でも比較的に治安が良く王や領主がしっかりしている国は挙げられる中でもいくつかあるがそれはどれもかなり離れているそうだ。
これには主の力が強かったり、周辺の治安の悪い国の牽制も含めていたりしている。
「じゃぁツァーカブの周りにももちろん危険な国もあると言うこと?」
「もちろん、特に危ないのが赤王領だな、あそこは人口が少ないから国の名前すらついてないけどあそこの王はかなり危険だ、定期的に剣王に喧嘩ふっかけてきたりするしそもそも王が拷問好きって言うのもあるんだよなぁ」
赤王領はその名前の通りに赤い衣服を身に纏った王様だという、力は強くそれに憧れる悪魔ももちろんいるが、この王様の趣味が拷問でかなり好戦的な性格のため危険視されるほど危ない悪魔と教えてもらった。
「まぁその都度、剣王がコテンパンに倒してるからこっちの被害はホントないんだけど多分あの人別の意味で喧嘩ふっかけてきてんだろうな・・・・・・考えたくはないけど」
「そ、そんなに危ない人が近くでおさめているのに危険が全く入ってこないって本当にすごいのね剣王って」
私は、個人的にも本当に近寄りたくないなと思ってしまった、
アイニは苦笑いをしながら説明していたが、いざその赤王にあったら本当に危ないのではないかとぞくりとしてしまった。
「さぁアリスそろそろだぜ、もうツァーカブへの出口だ、準備はいいかい?」
気がつくと目の前は逆光で見えにくくなっているが出口がすぐそばまである、周りには多くの看板があるこの先はツァーカブ、剣王の領土。
一体どんな王様なんだろうかと私は緊張しながら森の出口へ進んでいった。
最初のコメントを投稿しよう!