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編 我ながらうまく話を運んだなと思っているんですが(笑)、先生はゲイであることをカミングアウトされていますね。
高崎 みごとな振りです(笑)。ここからプライベートに突っ込まれるんですね。
編 はい、それがこのコーナーの身上ですので。先生がゲイだと知って嘆く学生も多いんですよ……。
高崎 多くを求めないということでしたら、いくらでも授業の後にお付き合いしますよ(笑)。高校生の頃には自覚がありましたが、そのせいでトラブルも起こしましたし、家族ともぎくしゃくしました。大学生になって、理解者が出てきて、精神的には落ち着いたかな……まあでも、基本的には隠していましたね。
編 カミングアウトなさったきっかけはあったのですか?
高崎 パートナーと出会ったことです。あ、彼と私は同性パートナーシップ制度を使っていますから、夫と呼ぶべきなのですが、私は彼を自分の妻だと思っているので、パートナーにしておきますね。
編 ああ、言葉にこだわる先生らしいご発言(笑)。
高崎 いや、相手を何と呼ぶかは大事です。例えば皆さんはこれから男性と結婚して、その人が自分を家内と呼んだら、それに疑問を感じることになりますよ。彼は30代後半で自分がゲイだとわかった人で、私が目覚めさせたのですが(笑)、私のせいでアウティングされてしまったのです。名前を晒された訳ではなかったので、しらを切り通すこともできたのでしょうが、彼はもう開き直って、私を交際相手だとも周囲に言ってくれたので……これはよく考えたら自発的カミングアウトではないですね、彼に巻き込まれたのだと今気づきました。
編 (笑)。パートナーさんとは、先生のインスタグラムで人気のあきとさんですよね。
高崎 あ、それもチェックしていますか(笑)。何だかすっかりキャラクター化していますよね、彼も困惑していて。
編 話が前後してしまいますが、あのインスタを始めたのもアメリカにいらっしゃった時ですか?
高崎 はい。大学の美術部にお邪魔するようになり、感染症拡大で展覧会もできないしということで、クラブでインスタを始め、参加してみてこれは面白いなと。それとは別に、コンスタントに絵を描いて自分を鍛えたいと考えていたので、主にスケッチを週1作、個人のアカウントで上げていくことにしました。
編 論文を書きながらですよね? パワフルですね……。
高崎 あまりそれまで、自分を追い込んだことがなかったので、チャレンジしました。まあウイルスのせいで、どこにも出かけられず時間があったこともありましたが。
編 人物画がお得意だと。
高崎 学生のころは全然駄目だったんですよ。社会人になってから、人を描くのは面白いと気づきました。私のパートナーは、真面目なサラリーマンですが、結構表情豊かなんです。留学中、やはり彼に会えなくて寂しくて、オンラインで話した後などに、思い出の場面を描いていました。
編 ブレイクしたのは……これでしたよね、”in the dawn”。すごい、いいねが50.2万。これ記事に挿入してもいいですか?
高崎 いいですよ。うーん、寝てるだけなのにエロス(笑)。イタリア人の女性の寮生が、これを描いている途中に、彼を自分に紹介して欲しいと言ったんです。でも仕上がったら、彼が私とただならぬ関係だとすぐ察したみたいで、謝られてしまいました。
編 (笑)。そうですね、視点が……べったりくっついて見ていますよね、ひゃあ。
高崎 清らかな乙女たちに見せてもいいものですか?
編 先生は私たちを買い被ってらっしゃいますね、私たちはたぶん、先生が思ってらっしゃるほど清らかじゃないです。
高崎 (笑)。いいねが沢山つくと単純に嬉しいので、パートナーともう一人、昔からお世話になっている臨床心理士を勝手にシリーズ化しました。するとモデルにファンがつくという奇妙な現象が起きて(笑)。SNS社会ならではですね、モデルたちには迷惑をかけていますが。
編 あやのさんも綺麗な女性ですね、ファンもつきますよ。
高崎 この人はほんとに、元々絵になる女性です。中身も素敵な人です。最近は動物、奈良の鹿も可愛くてよく描いているのですが、パートナーが鹿せんべいをあげている絵が、自分的には気に入っています。
編 これですね、”feeding”……そのままじゃないですか。
高崎 これはパートナーをよく知る人には、ちょっと笑えるタイトルなんですよ。パートナーは比較的何でも美味しいと言って食べる人です。彼の周辺の人は皆そのことを知っているので、「餌付けされる側のお前が何で餌付けしてんねん」[編集注:ここを高崎先生は、見事な関西弁でおっしゃいました。]と突っ込むんです。
編 えーっ(笑)、あきとさんって何だか可愛らしい人ですね。
高崎 ええ、会社では営業のエースで沢山の部下を使っていますが、家では私の可愛い嫁です(笑)。
編 先生のインスタのフォロワーさんたちは、先生を画家というよりは神絵師に近い人と認識している感じがします。
高崎 だからモデルにファンがつくのでしょうね。私は何者と受け取られても全然構わないですよ。描いたものを楽しんでくださるかたが世界中にいるのは、幸せなことです。
編 年末に画集を出されるという噂ですが。
高崎 研究書でなくてもお話ししていいのですか?
編 先生の研究書はアメリカで刊行している英文の共著ですよね、読める人が限られてしまうので(笑)。大丈夫です、他の先生もいろんなご本を宣伝されています。
高崎 では遠慮なく(笑)。インスタにこれまで挙げたスケッチだけでなく、彩色したものや、描き下ろしも入れる予定です。
編 楽しみです。大学の教員、SE、画家と3つの顔をお持ちの先生の生き方に、憧れると言う人も多いですね。
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