あとがき

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あとがき

 『あきとかな ~恋とはどんなものかしら~』に最後までお目通しいただき、本当にありがとうございました! 自分の書いた妄想を人前に出すのも、男性同士が愛し合うものを書いたのも初めてです。そんなある意味、行き当たりばったりなものを、沢山のかたに読んでいただき、スターやスタンプまで頂戴し、恐縮することこの方無しです。心より感謝いたします。    この物語を書き始めたのは2021年2月で、とあるオーディションのために、モーツァルトのオペラ「フィガロの結婚」のケルビーノのアリア「恋とはどんなものかしら」を練習していた頃です。じっくり向き合うと、歌詞も曲もチャーミングだなと改めて思い、そんな雰囲気にしたかったのですが……ちょっとムリゲーだったかも……。  物語の中で描きたかったのは、自分が同性愛者と気づいて戸惑い、自分や周囲の固定観念に振り回されるうち、本当の自分を受け入れて成長していく男性の姿です。舞台設定を2017〜18年にしていますので、今よりゲイの人たちへの風当たりは強かったかも知れません。基本的に私が、主人公が過剰に傷つくようなものは書きたくない(キツいのは現実だけで十分です笑)のと、お相手は美形というBL的ファンタジーを入れたため、良くも悪くも少し緩くなりました。  いわゆる「エブリスタ書き」が存在することを知りませんでしたから、1ページに素で3000字以上とか、読み辛くて本棚から外した人もいたと思います。本編で最後までおつきあいくださったかたには、感謝とともにねぎらいの気持ちを贈ります……この辺りは、スピンオフやスター特典の投稿から、ちょっと意識するようにしていますし、これから本編前半を、校正ついでに触ろうと考えております。  表紙絵を描いてもらおうかなと、8月に入った辺りからぼんやりと絵師さんを探しつつ、お金使ってまでどうよ、と迷っていました。が、8/12の新作セレクションに取り上げていただいたことで、ふっ切れました。  絵をラフに起こす作業から、ひとつ仕上がってくる度にいちいち興奮(笑)。端正で色気の香る絵をつけてくださったのじ044さまには、キャラクターの輪郭を固め、物語を多方向に拡大する上で、本当にインスパイアされました。想定外の楽しい出会いになり、心より感謝でございます。  『あきとかな』の連載を始めてから、スターをくださった書き手さまの作品を中心に、たくさんBLを読みました。  ボーイズラブという名称が定着していない頃に読んだものがあまりに「はぁ~??」だったため、正直なところこのジャンルは馬鹿にしていました。ところが、エブリスタを始めとする投稿サイトで出会った作品の中には、書き手さまが登場人物を愛していて、心理描写もストーリー展開も細やかで、この時代になってもやはり「男同士が惹かれ合う」ことには、最初当人たちも抵抗感を伴うということなどが、しっかり練り込まれているものも多く、驚きました。私は『あきとかな』を真面目なBLと標榜していますが、全て真面目なBLでした。いや、BLというジャンルが、極めて「真面目さ」を要求されるものと言えるかも知れない……(はい論文1本出来ました)。  最後にもう一度、暁斗と奏人の歩みを見守ってくださり、本当にありがとうございました。この2人、またちょろちょろ出てくると思いますので、その際はまた遊んでやってください。  現在投稿済みの「あきとかな」シリーズは、時系列順に、『ほづみんとたかふみ』『あきとかな 〜恋とはどんなものかしら〜』『俺/僕のジュリエット』『あそびをせんとや』となっております(作品の投稿に関して、たまにつぶやいています)。  世の中いろいろ不安なことや心配ごとが絶えませんが、全ての読み手の皆様が何処かに光を見い出し、健やかに前に進むことができますように。                        2021.9.12  穂祥 舞
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