3. 積年の想い

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. 「……家まで、送って行くよ」 「大丈夫だよ、一人で帰れる……」 「もう暗いんだから危ないだろ。放っておけない」 そう言って、海翔はそれ以上何も訊かずに、私を家まで送り届けてくれる。 息が詰まりそうだった。 まだ、陽斗が部屋にいたらどうしようって。 「海翔……ごめんね」 「何が?」 「2年前のこと……」 陽斗が話してくれなかったからと説明するのは、告げ口をするようで気が引けた。 陽斗にそんな真似をさせてしまったのは、いつも彼の優しさに甘えてばかりの私のせいだ。 あんなにいつも傍にいてくれたのに、私は、陽斗の気持ちには応えられない。 だって、陽斗のことを恋愛対象として好きになれるのなら、もうとっくになっているはずだから。 10分程歩いて、家の近くまで着くと、海翔は「じゃあ」と軽く言って、歩いてきた道を戻って行く。 私もそのまま家に帰ったが、もうそこには陽斗がいないようだった。 さっきまであったはずの陽斗の自慢のマウンテンバイクが、姿を消していたから。 .
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