4. 初恋の行く末

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. そんな期末テストも無事に終わり、7月に差し掛かると、ついに高校生活のビックイベントがやってきた。 待ちに待った、3泊4日の修学旅行だ。 最寄りの空港までは県を越えて2時間弱。 けれども、私たちは便数の多い中部国際空港までバスで向かうことになっている。 そのために、当日の集合時間は朝の6時半に学校だ。 そんなに早く集合しても、北海道に到着するのは午後だというのだから時間のかかる大移動だ。 「萌、昨日眠れた?」 「21時半には布団に入ったけれど、全然駄目だった」 「分かる。私も結局、23時くらいまで直也君と電話しちゃった」 そう言って、大きく欠伸をする美桜ちゃんを見て、私もつられて欠伸をしていると、離れたところにいた陽斗と目が合った。 私たちは気まずさを感じながら、お互いに視線を反らす。 「陽斗君、珍しく時間通りに来たね。萌が電話で起こしてあげたの?」 「……ううん。私は何もしていないよ」 美桜ちゃんには、陽斗に告白されたことを話していない。 本当は全てを打ち明けて、相談に乗って欲しかったけれど、陽斗の気持ちを私の口から他の人に話すべきではないと思った。 予定通りに学校を出発したバスの中では、朝早いこともあってか半分以上が寝ていて、残りは修学旅行の雰囲気に当てられてテンション高めに騒いでいる。 陽斗は言うまでもなく後者かと思いきや、今日は後方の端の席で、窓にもたれかかりながら寝ているようだった。 .
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