4. 初恋の行く末

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. 生まれて初めての飛行機は、離陸するまでの間は緊張の連続だったけれども、慣れてしまえば意外と快適だった。 「萌、あれ富士山だよね!?」 「あっ、本当だ」 美桜ちゃんが覗き込む小さな窓からは、雲から山頂をのぞかせた富士山が見えた。 こんな形で見るのは初めてなので、なんだか得した気分になる。 美桜ちゃんとお菓子を食べながら、付箋だらけのガイドブックを見て、自由時間はどこへ行こうかと喋っていた。 時間はあっという間に過ぎていき、もうすぐ着陸態勢に入るというアナウンスが流れる。 前方にある化粧室の使用中ランプが消えると、私は腰のベルトを外した。 「ちょっと、御手洗に行ってくるね」 「行ってらっしゃーい」 美桜ちゃんに声を掛けて、立ち上がった。 用事がない人は着席しておくようにと先生が言っていたにもかかわらず、立っている人が多くて、狭い通路を注意しながら歩く。 その時、少し機体が揺れて足元がふらつき、バランスを崩しそうになった私の腕を、誰かが掴んでくれた。 「あっ、ごめんなさい………」 「……揺れるから、気をつけろよ」 目を逸らしながら、他人行儀にそう言ったのは陽斗。 腕を掴むその力強さに、あの夜の感覚が蘇る。 思わず強張ってしまったが、陽斗はそのまま腕をそっと放してくれた。 .
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