0人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
夕立の手紙
窓から外を眺める。
外の星空は私を考え込ませる。
切なさを表に出してる私が、窓に映る。
あいつはどうしてるんだろう
「会いたいけどさ、迷惑だよね」
でも、好きな気持ちは止められない。
これは、星空が綺麗なあの夜に書いた。
私からあなたへの手紙
***
「この歌詞良いじゃん、俺は好きだぜ」
「でもさ、これって女目線だろ? お前どーすんだよ!」
「何が?」
「お前、女子と付き合ったことないじゃん」
「マジか、てか男はあるのかよ」
「ねーよ! 女も男とも付き合ったことねーよ!」
「あのさ思ったんだけどさ、これはこれで良いけど星空ってのが違う気がする」
「じゃあ何が良いんだよ」
「んー例えばそうだな……」
「おい、外、雨降って来たぜ」
「雨か……夕立、夕立ってのはどう? 星空を夕立に変えるんだよ」
「夕立か……うん、悪くないな」
「星空って歌詞でありきたりな感じするもんな、俺もさんせー」
「じゃあ、あてて書き直してみ」
窓から外を眺める。
外の夕立は私を考え込ませる。
切なさを表に出してる私が、窓に映る。
あいつはどうしてるんだろう
「会いたいけどさ、迷惑だよね」
でも、好きな気持ちは止められない。
これは、夕立が綺麗なあの夜に書いた。
私からあなたへの手紙。
「夕立なのに夜は無いだろ、夜は」
「夕立は夜に降らないのか?」
「あ、じゃあ悪いな、俺先に返るわ!バイトだからよ」
「おう! まかない食い過ぎてまた肥るなよ!」
「うるせ! じゃあなー!」
「また明日!」
「……っで、なんの話だっけ? ああ、そうだ! 夕立は夜には降らないでしょ」
「なんで夕立は夜に降っちゃ行けないんだよ?」
「なんでって、夕方に降る雨だから夕立じゃん」
「じゃあ夜を何に変えればいいんだ?」
「んーじゃあ夕立見に外行こうか」
「これが夕立だよ、まぁ雨は雨だ」
「よく降るな」
「…………」
「……なんか浮かんだ?」
「いや、お前も考えろよ」
「……じゃあ、こういうのは?」
***
これは、夕立に想いを乗せて書いた。
私からあなたへの手紙
***
「うーん、悪くないけど夕立なのに、しとしと雨が降る感じがしないね」
「お前が書いたんだよ、てか、わがままばっかだな」
「わがままじゃないっての! お前に言われたくないよ、でも私はもうちょっと考えてみるよ」
私はお前……じゃなくて、あなたとずっと一緒にいたいよ。
そんな想いを密かに隠して。
夕立が降る校庭を眺めていた。
強がっても届かないなんて考えて、ネガティブにも程がある。
口調が悪くなるのも、いつも照れ隠し。
夕立にまかせてみた。
「じゃあ、これお前にあげる」
ほんの少し油断した、これは。
「あ、ありがとう……」
あなたがくれた、大切な手紙。
最初のコメントを投稿しよう!