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眠りについた森の中。
豪邸の一室。
暗闇の寝室に、月明かりが忍び込む。館の当主は今まさに、夜間灯を消して寝台に向かう瞬間だった。
背中から胸へ、鋼の刃が突き刺さる。
当主は声を上げる間も、振り向く間もなく、続けて喉笛を一閃斬られ、寝台の傍で崩れ落ちた。
「――排除した」
か細く冷めた声の主であり、当主の命を奪った少女アゼーラは、給仕服に返り血がないことを確認して、音も無く部屋から立ち去り、一切の痕跡さえなく館から姿を消した。
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