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「ありがとう」
とオレは言い、平凛の膝を借りた。幸せというのはこういうことだろうか……。
幸せをかみしめて、オレはウトウトしていたようだ。顔に日が差して眩しくて気づいた。時計を見たら、もう3時近くになっているじゃないか!
「なぜ起こさなかった?2時間以上もずっと正座してたのか?」
と平凛に問うと、「私は華道とかもやってますから、これくらいは平気です」
「いや、そうじゃなくて……」
平凛にはたいしたことではないらしいし、これ以上言っても無駄なことはわかっていたから言わなかった。「ダンナ様、お願いがございます」
「ん?なんだ?」
「みんなで家族風呂というのに入ってみとうございます」
「へっ?!」
マヌケ声が出た。
「あそこに見える看板に、書いてあるのでございます。せっかく温泉とやらに来たので、ご一緒してくださいませ」
「い……いや、それはマズいだろ。水着とか持ってるのか?」
「そんな物、持ってるわけがありません。ダンナ様はいつも水着を着てお風呂に入るのですか?」
「いや、そうではなくてだな……」
今話してるのが平凛だと忘れていた。ここん家はトンでもなく非常識だった……。
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