4.平凛デート

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オレの声はもう、正常を保てなかった……。 「(わたくし)を洗ってくださいませ」 「ヘっ?!」 「神宮寺家のしきたりでございます。ダンナ様には、最初に全てを見てもらわないといけない決まりになっております……。これは、傷物ではないということを目で見て、手で触ってもらって確認してもらうためです。ですのでタオルを使わずその手で全てをお触り下さいませ」  オレの頭の中で警報ブザーが鳴り響いていた。クロではなく、自分自身のものだと思う。 「あ!シ……しまっタ!」 声は裏返ったままだ。 「今日のユ……夕方に用事があるんだった!よシ!帰ロう!ミんな、出るゾ!イそゲ!」 とオレは最大限の勇気を振り絞り、平凛達に言った。 「ダンナ様……」 平凛が何か言いかけたが、オレはもう聞かず脱衣所に飛び出して体を拭くのもそこそこに、服を着た。  もしあのまま体全体を触ったりしたら、クビが飛ぶどころのさわぎじゃなくなってたよな。 「その通りね」 クロか……「オレは貞操を守ったぞ!」 「ウフフ……」 とクロが笑った。 渚の街のモノクローム「番外編」終 あとがき&作者雑感は次のページで
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