2.贈られたクロとシロ

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「今から100年前の私の祖先、岡野 蒼(おかのあおい)は岡野家一の天才でした。その人にあなたと私の技術を、どうか託してはもらえませんか?目的は同じだから、WIN WINの関係でいいと思うんですが?  このクロは岡野家のDNAに反応するように設定されています。200年前の祖先、岡野孝一は、こちらの世界線では私の祖先なんですよ。そちらではあなたの祖先となっていますが……DNAがほぼ同じなのでクロと話ができているのがその証拠です」 「なんとなくですが意味が分かりました。同じ岡野孝一の血を引く子孫として、協力したいと思います。よろしくお願いします」 「私も岡野家を代表してお願いします。お互いチャラい先祖を持つと大変ですよね。手順はそのクロに教えてありますので、聞いてください。では、失礼致します」 「あ、ハイありがとうございました」  会話としては長かったが、思考だったので実際には1分足らずで話は済んだ。  私は、「クロと呼ばれていたけど、名前はあるんですか?」 と聞いてみた。 「ハイ、シリウス・ダークブ……」「あ、長いからクロとシロでいいですね?」 「……」  この後クロから話を聞くと、あちらの世界線の岡野さんの技術はすごいものだとわかった。200年を一気に超える技術の不備を指摘したばかりか、彼女の考えでは一度100年前に飛ばして岡野家一の天才に技術を伝えてから、そこからさらに100年前に飛ばすと言う離れ業ですもんね。  確かに岡野さんの言うように、神宮寺家の祖先を助けることは、私の目的と一致している。ここは彼女に協力することが最善の(ルート)みたいだわ。  私は職員(研究者)達に、「今日はこれで終わります。明日から別のプロジェクトを立ち上げます」 と告げて研究室を出た。  その夜私は明日から立ち上げるプロジェクトの資料作りをして、夜を明かすことになった……。わからない部分は時々クロと頭の中で会話をしながら補った。
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