「バッドエンド」

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「バッドエンド」

わたしは物事を深く捉えられる自分が好き だからこそ、大嫌いにもなる 辿り着かなくてもいい最悪の答えまで 最速で届いてしまうから その柔らかい笑顔が わたしだけに向けられたとき ふわふわ足元が浮きたつあの感覚も その滑らかな指先が わたしだけに触れたとき スルスルと堕ちてゆくあの瞬間も 幸せなの、不幸せなの、 わたしはわたしに問いただす もう後戻り出来ない遠いところまで 行ってしまう前に早く 早く、早く、って急かされる わたしはわたしに 期待しないでいようと思うように なったのは、いつからだったのかな 辿り着かなくていい最悪の答えまでの 距離感はきっと防衛本能 分かってる 優しいだけの時間に戻れるように 手を離さないで わたしの 勇気を出して声をかけた日には 髪の毛の先まで痺れるような この感覚を覚えていたいような くすぐったくて すぐに忘れ去りたいような ビリビリ痺れる 熱くてじんわり背中に汗をかいて 感じた あなたの笑った時にできる 目尻のシワに また 幸せなの、不幸せなの、 わたしはわたしに問いただす 訂正出来ないくらい遠いところまで 行ってしまったら後悔するから 早く、早くって急かされてる わたしはわたしに 幸せなの、不幸せなの、 わたしは感じる前に確かめてる どんなに遠いところまでいっても きっと好きだ、と知ったら戻れないと 知ってるから試されてる わたしはわたしに ただ幸せになりたいだけ ただ愛したいだけで ただ愛されたいだけ あなただけに だけど分かってる 柔らかいままの形に戻れるように あなただけに伸ばした 手を離さないで
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