「茜色の誕生日」

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「茜色の誕生日」

夕日を眺めながら 日が沈んでいく間の時間を 誰かと過ごしたい 今日はわたしの誕生日だったけれど 何もしないで一日が終わってしまう あの海の側にある水族館の ポツンとあるベンチに座り 水平線を眺める自分を想像したの そこに今もしも 大切な誰かと居られるわたしであったなら プレゼントも何も とびきり楽しいエピソードもいらないの 昨夜は咳で眠れなかったけれど たまらなくて深夜に車を走らせた もう夕日は沈んで 真っ暗なのに 心がずっと茜色に染まって このまま暮れてほしくないと言っている 今もしもあの場所で 大切な誰かと微笑みながら 日が沈んでいるたったそれだけの瞬間を 果たせたなら わたしの誕生日は終わったのかな 終わらせられないまま 暗闇の中を走る わたしの胸に萌える茜色 ごうごうと燃えて 散っていくわたしの誕生日
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