「六月のきみ」

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「六月のきみ」

「どうしたの」と聞く きみの優しい声が聞きたくて 理由も無く黙って 「なんでもない」って 決まり文句みたいに私は言った 眉毛が下がって 首を傾げるきみ その後ろには六月の空が いつまでもはりついていて 剥がれない きみはどうして どうして私を残して居なくなったの 私はまだきみに あのとき困らせて ごめんねって言ってない 私はまだきみに あのとき黙っていた 理由をひとつも話せてない 「どうしたの」と聞く きみの声が優しいから 何度も聞きたくて 「なんでもない」なんて答えて 幼稚な私の抱えた膝に ぽつりぽつり落ちていた本音が きみに きみに永遠に届かない 六月の雨が降り続く
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