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ベッドに二人で横になり、いつものようにスマホをいじりながらくつろぐ。時折お互いの足が絡み、いちいちドキドキしてしまう。雰囲気を見計らっていると、
「え、新宿駅ってダンジョンじゃねーか!」
と突然、隣から驚きの声が上がる。
それと同時に、地方出身者が東京で最初に受ける洗礼トップスリー、というネット記事が書かれた画面を見せられた。
「うわぁ、巨大迷路ですね」
内容を読んで二人で驚愕した。
『世界一の乗降者数を誇る新宿駅。その複雑すぎる駅は初見殺し』
大袈裟だと思ったが、駅の地図を見ればそれが誇張でないと悟った。
「うーん、受験の日は新宿で乗り換えるルートはやめておこう……」
「賢明ですね」
どうやら侑生は受験当日のシミュレーションをしているようだ。まだ二ヶ月も先のことなのにと、用意周到なところに感心する。
いや、もう二ヶ月なんだ。冬休みはお互い実家に帰省してしまうし、そのまま本格的な受験シーズンに突入して、侑生とはしばらく会えなくなってしまう。
その会えない期間に不安を抱えたままでは、身が持たない。一刻も早く侑生と繋がりたい衝動に駆られる。
「ねぇ、侑生、……したい」
そういう気分を察してくれたのか、侑生は手に持っていたスマホを枕横に置き、こちらに身体を向けてくれる。しばらくの沈黙の中、互いの目が合う。
何も言わないが、「そっちから来いよ」と訴える目だ。公季はゆっくり顔を近付け、唇を重ねた。すぐに侑生の両手によって顔がホールドされ、主導権を握られる。
事を始めるのに、侑生から誘う日もあれば、公季から誘う日もある。割合は大抵半々くらいだが、ペースを支配するのは必ず侑生だ。
今日は比較的早い段階で深いキスになり、期待感が高まる。
パサ、と下着が二つベッドの下に落ちた気がするが、そんなことは気にも留めない。
「……あっ、ここ、きもちい」
「いいよ。公季の好きなように動いて」
侑生の上に跨り、ゆっくりと腰を前後に大きく揺らす。
トロトロと先走った汁が溢れてくる先端で、侑生の裏筋を撫でるように動かす。潤滑剤もいらないほど十分な湿り気を持っている。
お互いのものを触り合ったり、一緒に擦るのが自分たちのいつものセックスだ。でも、今日はもっと深い部分で繋がれるかもしれない。
公季は腰の前後でわざと前の方に力をかける。
「あっ、!」
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