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序文
死は、影のように⽣のそばをついて回る。
いつもの朝。人は目覚めると、職場や学校など、それぞれの場所へと出かけていって、疲弊しながら帰ってくる。そうしてありふれた日常を繰り返していくうち、生が永遠に続いていくものであるかのように錯覚してしまう。
だが、生きることは、いずれ死ぬことだ。この世界には、あまりにも多くの人が生きていて、生きてきた。
突然失う『いつも』に多くの人は未練を抱え、死の衝撃になにかしらの強い痕跡を残す。
それが地球という土地に滲みとなって、いつまでも残るのならば。
――普段『目』を向けないだけで、死はどこにでもあるものなのだろう。
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